“ハワイは王国であったが、米国からの入植者が経済的実権をもち、人口においても多数派となっていた。そのまま米国に併呑(へいどん)されてしまうことを恐れたハワイ人は、日本から移民を入れることで対抗しようとした。1881年、国王カラカウアが日本を訪問し、隠密に移民を要請したのである。その結果、ハワイに日本人が急増した。さらに、日本の軍艦がハワイを訪れるようにもなった。それは、太平洋を「アメリカの湖」とする米国の戦略を脅かすものと映った。そのため、日本移民が排斥されるようになったのである。
 以後、米国はハワイを併合しただけでなく、米西戦争を通して、キューバやフィリピンを併合するにいたった。このような帝国主義に対応して、日本も帝国主義に転じ、琉球の併合、朝鮮への侵略に向かった。だが、この時期、日米の対立は目立たなかった。たとえば、1905年には、日本が朝鮮を取り、米国がフィリピンを取ることを相互に承認する密約(桂・タフト協定)が結ばれている。日米のそのような“友好関係”がまもなく激突に転化したとしても不思議ではない。したがって、太平洋戦争の原因を知るためには、本書のように日米関係を19世紀後半に遡って見る必要がある。”
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