本読みなら大体感覚としてあると思うけど、作家の処女作はやはり一番面白いことが多い。そうではない場合も多々あるけど、印象としてはやはり強い。デビュー前に、処女作にありとあらゆるものを詰め込むからだろう。だから森博嗣はこんな風な戦略を立てた。
『だから、最初はセーブwして、だんだん面白くしていこう、と僕は計画した。まず5作ぐらいは書くつもりだったので、最初はオーソドックスに大人しく始めて、2作目で少しだけ個性を出し、3作目で技巧的な別の面を見せる。そして4作目でようやく全力を出し、5作目では、それをさらに凌ぐようなものを書こう。このような抽象的な計画を立てたのである。』
この計画はデビュー前からもろくも崩れるわけだが(森博嗣のせいではなく、出版社側の都合により)、森博嗣はそれにもきちんと対応して行く。
さて、これは第二章の内容になるのだけど、森博嗣はこんな風に書いている。
『何故ならば、作家を将来にわたってプロモートするようなビジネス戦略を、出版社ではまったく、誰一人考えていないのだ(せいぜい、目の前の一冊だけについて、オビやポップのキャッチ文など、効果の極めて小さなものに優秀な頭脳を使っている程度である)。小説家にはマネージャーがいない。出版社はしてくれない。だから自分で自分の作品のマネージメントをしなければならない。』
デビュー前から既に森博嗣は、自分をどんな風にプロデュースしていくのか考えていたのだ。